ヤフオクのロレックスは本物?偽物の見分け方とトラブル対処法

ヤフオクを眺めていると、驚くような価格でロレックスが出品されていることがありますよね。「もしかしたら掘り出し物かも?」なんて淡い期待を抱きつつも、心のどこかで「いや、でもヤフオクのロレックスが本当に本物なのだろうか…」と不安になるのが正直なところだと思います。

特に、なぜ安いのかという根本的な疑問や、巧妙な偽物の存在を考えると、なかなか購入に踏み切れないものです。保証書なしの出品も多く、万が一トラブル事例のような事態になったらどうしよう、詐欺だったら…と考えると、出品者の評価だけを信じるのも怖いですよね。

この記事では、そんなヤフオクでのロレックス取引にまつわる不安を解消するために、本物との見分け方から、万が一偽物を買ってしまった場合の返品や警察への相談、さらには裁判といった最悪の事態を避けるための知識まで、あらゆる角度から解説していきます。取引で失敗し後悔しないためにも、まずは正しい知識を身につけ、ご自身を守る術を学びましょう。

この記事でわかること
  • ヤフオクのロレックスが市場価格より安い理由がわかる
  • 写真や説明文から本物と偽物を見分ける具体的なポイントを学べる
  • 万が一トラブルに遭った際の段階的な対処法を理解できる
  • 詐欺などのリスクを回避し、安全に取引するための出品者の見極め方が身につく
目次

ヤフオクでロレックス本物を探す前の注意点

いざヤフオクで憧れのロレックスを探すとなると、価格の魅力に目がくらみがちですが、どこを見て、何を信じて判断すればいいのか、不安になりますよね。ここでは、その「購入」ボタンを勢いで押してしまう前に、ご自身をリスクから守るために知っておくべき重要なチェックポイントを、一つひとつ丁寧に見ていきましょう。冷静な判断が、後悔しないための最大の武器になります。

  • そもそもヤフオクではなぜ安いのか
  • 必ず確認すべき出品者の評価ポイント
  • 巧妙な偽物の存在を理解する
  • 画像や説明文での本物との見分け方
  • 実際にあったトラブル事例を紹介

そもそもヤフオクではなぜ安いのか

ヤフオクでロレックスを検索して、その価格に「おっ」と目を引かれた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。正規店や有名な中古販売店と比べると、明らかに安い価格で出品されていることが多く、その理由が気になりますよね。これには、いくつかの理由が考えられます。

まず、ヤフオクは個人間取引が主体であるという点が大きいです。店舗を構える買取専門店や販売店は、人件費や家賃、広告費といった運営コストがかかり、さらに利益を上乗せして販売価格を設定します。しかし、個人が出品する場合、こうした中間マージンが一切かかりません。売り手としても、買取店に安く買い叩かれるよりは、少しでも高く売りたいという思いから、店舗の販売価格よりは安く、買取価格よりは高い、絶妙な価格設定で出品するケースが多いというわけです。

また、出品されている時計の状態も価格に影響します。例えば、

  • 保証書(ギャランティ)や箱などの付属品が揃っていない
  • ブレスレットに傷が多い、ガラスに欠けがある
  • 長年オーバーホール(分解掃除)をしていない

といった、いわゆる「訳あり品」は、当然ながら価格が下がります。完璧な状態ではないけれど、普段使いには問題ない、と割り切って購入する人にとっては、魅力的な価格に映るでしょう。

しかし、この「安さ」には光と影があります。中間マージンがない、訳あり品だから安い、というのは納得できる理由ですが、その安さを逆手にとって、悪意のある出品者が偽物を売りさばくための舞台になっているという側面も忘れてはなりません。市場価格から逸脱してあまりにも安すぎる場合は、何か理由があると疑ってかかる姿勢が不可欠です。安さの裏に潜むリスクを正しく理解することが、ヤフオクでロレックスを探す上での第一歩と言えるでしょう。

必ず確認すべき出品者の評価ポイント

ヤフオクで取引相手の信頼性を測る唯一の指標が「評価」ですが、ただ「非常に良い」の割合が高いから安心、と判断するのは少し早いかもしれません。高額なロレックスの取引だからこそ、評価は数だけでなく、その「質」までしっかりと読み解く必要があります。

まず基本となるのが、総合評価の数字と「非常に良い」の割合です。評価数が数百、数千とあり、なおかつ99%以上が「非常に良い」であれば、多くの取引を問題なくこなしてきた出品者である可能性は高いと考えられます。特に、これまでにも高額な時計やブランド品の取引実績が豊富にあるかどうかも重要な判断材料です。

しかし、本当に見るべきは「良い」や「普通」、そして**「悪い」「非常に悪い」の評価が付いている場合、そのコメントの内容**です。一体何が原因でその評価になったのかを詳細に確認しましょう。

  • 「連絡が遅い」「発送が遅い」といった取引のスムーズさに関する不満か、
  • 「商品説明と状態が違った」「梱包が雑だった」といった商品自体に関する問題か、
  • 「偽物だった」「問い合わせに返信がない」といった詐欺や不誠実な対応に関するものか、

これらは全く意味合いが異なります。特に商品そのものや、出品者の誠実さに関わる悪い評価がついている場合は、どんなに良い品に見えても避けるのが賢明です。

評価の裏を読む

注意したいのが、評価の「裏」を読む視点です。例えば、悪い評価に対して出品者がどのような返信をしているかを確認します。真摯に謝罪し対応しているのか、それとも逆ギレしたり、落札者のせいにしたりしているのか。その返信にこそ、出品者の人間性が表れます。

また、「報復評価」の存在も頭に入れておくべきです。落札者が正当な理由で悪い評価を付けた腹いせに、出品者が事実無根の悪い評価を付け返すケースです。コメントを読めば、どちらの主張に正当性がありそうか、ある程度は推測できるはずです。

最終的には、評価の数字だけを鵜呑みにせず、コメントのやり取りから「この人から100万円を超える時計を買っても大丈夫だろうか?」と自問自答してみる。その少しの慎重さが、あなたをトラブルから守ってくれるはずです。

巧妙な偽物の存在を理解する

一昔前の「誰が見ても明らかに偽物」というレベルのコピー品は、今や少なくなりました。特にロレックスのような人気ブランドでは、いわゆる「スーパーコピー」や「N級品」と呼ばれる、極めて精巧な偽物が市場に出回っているのが現実です。ヤフオクでロレックスを探すのであれば、まずこの「巧妙な偽物」の存在を正しく認識しておくことが、騙されないための大前提となります。

これらの偽物は、見た目だけではプロの鑑定士でさえ判断に迷うことがあるほど、本物に似せて作られています。重さや質感はもちろん、細部のロゴ、刻印に至るまで忠実に再現しようと試みられており、素人が写真だけで見分けるのは不可能に近いと言っても過言ではありません。

では、具体的に本物とN級品では何が違うのでしょうか。外見上は些細な違いに見えても、その本質は全く異なります。

項目 本物のロレックス N級品(スーパーコピー)
ムーブメント 自社開発・製造の精密機械 安価な汎用ムーブメントやコピー品
素材 高品質なステンレスや貴金属 品質の劣るステンレスやメッキ加工
防水性能 高い防水性を保証 日常生活防水程度、もしくは防水性なし
耐久性 数十年の使用に耐えうる設計 短期間で故障するリスクが高い
資産価値 価値が下がりにくく、時に上昇 資産価値はゼロ
修理・OH 正規サービスセンターで対応可能 原則として修理不可

このように、N級品はあくまで「外見を似せたアクセサリー」であり、時計としての本質的な性能や価値は全くの別物です。ゼンマイを巻いた時の感触、秒針の滑らかな動き、リューズの操作感といった、本物だけが持つ精巧な「魂」まではコピーできません。

ヤフオクでは、こうしたN級品を「本物」と偽って出品したり、「真贋不明」や「ノベルティ」といった曖昧な表現で責任を回避しようとしたりする悪質な出品者が後を絶ちません。インプットした情報の中にも、海外から個人輸入した偽物を「ノベルティ」と称して販売し、逮捕されたリサイクル店経営者の事例がありました。

「この値段なら、もしかしたら…」という淡い期待は禁物です。写真がどれだけ綺麗でも、説明がどれだけ丁寧でも、市場価格を大きく下回る品には、こうした巧妙な偽物が潜んでいる可能性が常にある、という厳しい現実を直視することが大切です。

画像や説明文での本物との見分け方

ヤフオクのようなオンラインの個人間取引では、実物を手に取って確認することができないため、出品されている画像と説明文が唯一の判断材料となります。非常に難しい挑戦ではありますが、いくつか注目すべきポイントを知っておくだけでも、明らかな偽物や怪しい出品を避ける確率は格段に上がります。

画像でチェックすべきポイント

まず、画像は枚数が多く、様々な角度から撮影されているかを確認しましょう。解像度が高く、細部まで鮮明に写っていることが大前提です。画像が少ない、あるいは不鮮明な場合は、何か隠したいことがあるのではと疑うべきです。

その上で、以下のポイントを重点的にチェックします。

  1. 文字盤のロゴと王冠マーク: 本物の「ROLEX」のロゴは、シャープで立体感があります。特に王冠マークは、5本の先端が綺麗に伸びており、バランスが取れています。偽物は、ロゴが滲んでいたり、王冠の形が不格好だったりすることがあります。
  2. 針の形状と仕上げ: 針のフチや表面の仕上げも重要です。本物は丁寧に磨かれており、光の反射が美しいですが、偽物は仕上げが雑でバリが残っていることも。
  3. インデックス(時刻表示): インデックスの夜光塗料が、はみ出したり欠けたりしていないかを確認します。取り付け位置が微妙にズレている場合も注意が必要です。
  4. サイクロプスレンズの倍率: デイト表示を拡大するサイクロプスレンズは、本物であれば正確に約2.5倍に拡大されます。偽物はこの倍率が低く、日付がそれほど大きく見えないことが多いです。
  5. ブレスレットやバックルの刻印: バックル部分の王冠マークや刻印も、鮮明でシャープかを確認しましょう。

説明文でチェックすべきポイント

説明文は、出品者の時計に対する知識や誠実さが表れる場所です。

  • 入手経路が明確か: 「正規店購入」「有名並行店で購入」など、具体的な入手経路が記載されている方が信頼性は高まります。逆に「知人から譲り受けた」「整理品のため詳細不明」といった曖昧な説明は注意が必要です。
  • シリアルナンバーや型番の記載: ぼかさずに記載しているか。保証書がある場合は、本体の刻印と一致しているか質問してみるのも一つの手です。
  • 「本物ですか?」という質問への回答: 過去の質問欄なども確認し、真贋に関する質問に対して誠実に答えているかを見ます。「鑑定していないので不明です」と逃げるような回答は、リスクが高いと考えられます。
  • 不自然な日本語: 海外の業者が翻訳ソフトを使って出品しているケースもあり、不自然な言い回しには注意が必要です。

ただし、これらはあくまで基本的なチェック項目です。前述の通り、精巧なN級品はこれらの点をクリアしているように見えることも少なくありません。最終的には、少しでも違和感を覚えたら、「その取引は見送る」という勇気を持つことが最も重要な見分け方と言えるかもしれません。

実際にあったトラブル事例を紹介

ヤフオクでのロレックス取引は、夢の時計を安く手に入れるチャンスがある一方で、常にリスクと隣り合わせです。ここでは、インプットされたデータベースにもあった、実際に起きた生々しいトラブル事例をいくつか紹介します。これらは決して他人事ではなく、誰の身にも起こりうるということを心に留めておいてください。

事例1:届いたのは「箱のみ」

ある落札者は、68万円でロレックスを落札。心待ちにしていた商品が届き、いざ開封してみると、中に入っていたのはロレックスの立派な箱だけで、肝心の時計は入っていませんでした。

出品者に問い合わせても「確かに時計は入れて発送した」の一点張り。配送中に中身だけが抜き取られるとは考えにくく、明らかに詐欺が疑われるケースです。高額なお金を支払った後では、泣き寝入りになってしまう可能性も高い、非常に悪質な手口です。

事例2:「動作確認済み」のはずが…

出品時には問題なく作動していたという中古のロレックス。商品説明にも「動作確認済み」と記載されていました。しかし、落札者が日本ロレックスに持ち込んだところ、「ゼンマイが完全に巻ききれていないためオーバーホールが必要」との診断。

出品者は時計の状態を正確に把握しないまま安易に「動作確認済み」と記載したため、結果的に落札者から返品か修理費用の負担を要求されるというトラブルに発展しました。精密機械であるロレックスだからこそ、状態の正確な記載が求められます。

事例3:巧妙に引き延ばされる発送

「安く買えれば儲けもの」と軽い気持ちで入札したところ、上位の入札者が辞退し、繰り上げで落札者に。本物である証明書もあるとのことで安心して代金を支払ったものの、「正規代理店の証明を得るため」「オーバーホールに時間がかかる」など、様々な理由をつけられて発送がどんどん先延ばしにされます。数ヶ月にわたり連絡は取れるものの、商品は一向に届かない。

警察に相談しても、連絡が取れている以上「詐欺罪での立件は難しい」と言われてしまうケースです。これは、法的な追及を逃れる術を知っている、非常に手慣れた詐欺師の手口と考えられます。

これらの事例からわかるように、トラブルの形は様々です。単なる商品説明の不備から、明確な悪意を持った詐欺まで、ヤフオクというプラットフォームには多様なリスクが潜んでいます。こうした現実を知っておくことが、甘い言葉や魅力的な価格に惑わされず、慎重な取引を行うための第一歩となるのです。

ヤフオクのロレックスが本物でない時の対処法

万が一、届いたロレックスに違和感を覚え、「これは本物ではないかもしれない…」と感じてしまったら。その瞬間は血の気が引く思いでしょうが、パニックにならず、冷静に対処することが何よりも大切です。ここからは、もしもの時にご自身が取るべき行動を、順を追って具体的に解説していきます。知っているか知らないかで、その後の結果が大きく変わる可能性もあります。

  • 高額商品ならではの詐欺手口とは
  • 偽物を買ってしまったらまず何をすべきか
  • 出品者への返品交渉は可能なのか
  • 警察へ相談する前に準備すべきこと
  • よくあるQ&A
  • ヤフオクでロレックス本物を賢く取引する

高額商品ならではの詐欺手口とは

ロレックスのような高額商品を狙った詐欺は、手口が巧妙化しており、一見すると見抜きにくいのが特徴です。ヤフオクで取引を行う際は、どのような危険な手口が存在するのかを事前に知っておくことで、怪しい出品を察知し、リスクを回避することに繋がります。

手口1:すり替え詐欺

これは出品者、落札者の両方が被害に遭う可能性がある、非常に悪質な手口です。

  • 出品者が仕掛けるケース: 出品画像には本物のロレックスを使用し、落札者には精巧な偽物を送りつけます。
  • 落札者が仕掛けるケース: 出品者から送られてきた本物のロレックスを受け取った後、「届いた商品が偽物だった」と嘘のクレームをつけ、手元に用意していた偽物を返品し、本物をだまし取ります。

出品者側としては、返品に応じる際に、送った個体と同一のものか(シリアルナンバーなど)を確認するといった自衛策が必要になります。「ノークレーム・ノーリターン」と記載していても、この「すり替え」のリスクは常に存在します。

手口2:商品説明の罠

「真贋不明」「鑑定していないため保証できません」「ジャンク品扱い」といった、一見正直にリスクを開示しているように見せかけて、実際には偽物であることを確信犯的に販売する手口です。

落札後に偽物だと指摘しても、「だから真贋不明と書いたはずだ」「商品説明に納得して購入したのではないか」と開き直られてしまうケースがほとんどです。インプットした知恵袋の事例でも、この手口で25万円をだまし取られ、返金を求めても「説明しているのに購入した」と相手にされなかったケースがありました。

手口3:直接取引への誘導

「ヤフオクの手数料が高いから」などともっともらしい理由をつけ、LINEやメールなどで直接取引を持ちかけてくるケースも非常に危険です。ヤフオクの決済システムを介さないため、Yahoo! JAPANの補償制度(後述)が一切適用されません

お金を振り込んだ途端に連絡が取れなくなる、というのが典型的なパターンです。掲示板では、直接取引を断られていましたが、これは賢明な判断だったと言えます。どのような理由であれ、プラットフォーム外での直接取引は絶対に応じるべきではありません。

これらの手口は、人の心理的な隙や、少しでも安く買いたいという欲求につけ込んできます。取引相手の評価が良いからと安心せず、常にこうした詐欺のリスクがあることを念頭に置いておくことが、自分の身を守る上で不可欠です。

偽物を買ってしまったらまず何をすべきか

商品が届き、開封した瞬間に「何かがおかしい」と感じたら、その直感は正しいことが多いです。焦りや怒りで頭が真っ白になるかもしれませんが、感情的に行動する前に、踏むべき手順があります。初動対応を間違えると、返金される可能性が低くなってしまうため、冷静に一つずつ対処していきましょう。

何よりも先に、絶対にやってはいけないことがあります。それは**「受け取り連絡」のボタンを押すこと**です。ヤフオクのかんたん決済はエスクローサービス(仲介サービス)の仕組みになっており、落札者が「受け取り連絡」をするまでは、代金はYahoo! JAPANが預かっている状態です。このボタンを押してしまった瞬間に、出品者へ代金が支払われてしまい、その後の返金交渉が極めて困難になります。

受け取り連絡をしない、という大原則を踏まえた上で、以下の手順で行動を開始してください。

手順 具体的な行動 目的・注意点
1. 証拠の保全 ・届いた商品の写真をあらゆる角度から撮影する
・オークションページのスクリーンショットを保存する
・出品者との取引ナビでのやり取りを全て保存する
後に出品者やYahoo! JAPAN、警察などと交渉する際の客観的な証拠となります。特に商品説明は重要です。
2. 出品者への連絡 取引ナビを使い、「届いた商品が商品説明と異なる(偽物の疑いがある)ため、返品・返金を要求する」旨を冷静に、かつ明確に伝える。 ここで感情的になったり、相手を罵倒したりするのは得策ではありません。あくまで事務的に、事実を伝えましょう。
3. Yahoo! JAPANへの報告 商品が届かない、または届いた商品に問題がある場合、支払いから一定期間が経過すると「返金申請」や「見舞い制度の申請」が可能になります。ヘルプページを確認し、該当する手続きを行ってください。 これにより、Yahoo! JAPAN側にもトラブルが発生していることを正式に通知できます。出品者への入金を保留する効果も期待できます。
4. 真贋の確認 可能であれば、信頼できる質屋や買取専門店に商品を持ち込み、真贋の意見をもらう。日本ロレックスでは真贋鑑定は行っていませんが、修理見積もりを依頼し、受付を断られれば、それは偽物であることの間接的な証明になります。 第三者による客観的な「偽物である」という証明は、交渉を有利に進めるための強力な武器になります。

これらの行動は、すべて並行して、迅速に行うことが大切です。特に、かんたん決済のシステム上、落札者からの連絡がないまま14日が経過すると自動的に出品者へ入金されてしまうため、時間との勝負という側面もあります。まずは「受け取り連絡をしない」、そして「証拠を固める」。この2点を強く意識してください。

出品者への返品交渉は可能なのか

偽物が届いた場合、落札者としてまず考えるのが出品者への返品と返金だと思います。しかし、個人間取引であるヤフオクでは、この交渉がすんなり進むとは限りません。特に、商品説明に「ノークレーム・ノーリターンでお願いします」と記載されている場合、出品者はそれを盾に返品を拒否してくることがほとんどです。

では、ノークレーム・ノーリターンと書かれていれば、落札者はどんな状態の商品でも受け入れなければならないのでしょうか。答えは「いいえ」です。

法律的には、たとえ「ノークレーム・ノーリターン」の特約があったとしても、出品者が商品説明と著しく異なるものを送ってきた場合や、商品の重大な欠陥(偽物であることなど)を知りながら伝えなかった場合は、その特約は無効となり、落札者は契約不適合責任(民法改正前の「瑕疵担保責任」)を追及できると解されています。

つまり、「本物のロレックス」として出品されていたものが「偽物」であったなら、それは契約内容に適合しない、ということになり、返品・返金を要求する正当な権利があるわけです。

しかし、これはあくまで法律上の理屈です。現実の交渉では、多くの壁が立ちはだかります。

交渉が難航する理由

  1. 相手が応じない: 悪意のある出品者は、最初から返金するつもりなどありません。「あなたは説明に納得して買ったはずだ」「偽物だという証拠はあるのか」「すり替えたのではないか」など、様々な理屈をつけて返品を拒否します。
  2. 証明の難しさ: 「偽物である」ことを客観的に証明する必要があります。前述の通り、買取店や日本ロレックスでの対応がその証拠になり得ますが、手間も時間もかかります。
  3. 連絡が途絶える: 交渉が面倒になると、出品者が取引ナビからの連絡を無視し、最終的には音信不通になるケースも少なくありません。Yahoo!のIDを削除して逃げてしまうこともあります。

このように、理論上は返品交渉が可能であっても、相手の協力が得られなければ、個人間の話し合いで解決するのは非常に困難です。インプットした知恵袋の相談者も、出品者と連絡は取れているものの、返金には応じてもらえず膠着状態に陥っていました。

返品交渉は、あくまで解決に向けた第一歩です。しかし、この交渉が不調に終わる可能性は常に念頭に置き、話し合いと並行して、次のステップ(Yahoo! JAPANへの報告や法的な手続き)の準備を進めておく必要があるでしょう。

警察へ相談する前に準備すべきこと

出品者との交渉が決裂し、どうにもならない状況に陥ったとき、最後の砦として頭に浮かぶのが「警察」だと思います。詐欺に遭ったのだから、警察に被害届を出せば犯人を捕まえてくれるはずだ、と考えるのは自然なことです。しかし、ヤフオクのような個人間取引の金銭トラブルにおいて、警察がすぐに動いてくれるケースは、残念ながら多くはありません。

警察には「民事不介入の原則」というものがあります。これは、個人間の契約トラブルや貸し借りといった民事上の争いには、基本的に警察は介入しないというスタンスです。ヤフオクのトラブルも、多くはこの「民事上の契約トラブル」と見なされてしまい、「当事者同士で話し合ってください」と対応されることが少なくないのです。

では、どのような場合に警察は動いてくれるのでしょうか。それは、このトラブルが単なる契約不適合ではなく、出品者の**明確な「詐欺の意図(欺罔行為)」**によって引き起こされた「刑事事件(詐欺罪)」であると認められた場合です。

警察に詐欺罪として受理してもらうためには、ただ「偽物が届きました」と訴えるだけでは不十分です。相談に行く前に、以下の証拠を可能な限り揃え、論理的に説明できるように準備しておくことが極めて重要になります。

警察への相談前に準備するべきもの

  1. オークションページの完全な証拠:
    • 商品画像、商品説明、出品者情報などが全て含まれたページのスクリーンショットや印刷物。特に「本物」「正規品」といった記載があれば、それが重要になります。
  2. 出品者との全てのやり取りの記録:
    • 取引ナビでのメッセージのスクリーンショットや印刷物。質問への回答や、トラブル発生後のやり取りも全て含みます。
  3. 金銭の移動を証明するもの:
    • かんたん決済の支払い完了画面や、クレジットカードの利用明細など、代金を支払ったことを証明する書類。
  4. 商品が偽物であることの客観的な証拠:
    • 信頼できる買取店や質屋の鑑定結果(書面でもらえるとより良い)。
    • 日本ロレックスに修理を断られた際の受付票など。
  5. 相手の情報:
    • 匿名配送であっても、取引画面に表示される情報は全て記録しておきましょう。

これらの資料を時系列に整理し、「出品者は当初から私を騙す意図をもって、偽物を本物と偽り、金銭をだまし取りました」というストーリーを明確に伝えられるように準備します。単なる「商品への不満」ではなく、「犯罪被害」であることを強く訴える姿勢が求められます。この準備を怠ると、せっかく警察署に足を運んでも、門前払いされてしまう可能性が高いということを覚えておいてください。

よくあるQ&A

Q. 鑑定はどこでしたら良いですか?費用はかかりますか?

A. 信頼できる大手の買取専門店や質屋で査定を依頼するのが一般的です。多くの店舗では査定は無料で行ってくれます。「買取金額が出せない」と言われた場合は、偽物である可能性が極めて高いです。ただし、店舗はあくまで買取の可否を判断するだけで、「偽物証明書」のようなものは発行してくれないことがほとんどです。

Q. 匿名配送だと相手の住所がわからず、泣き寝入りするしかないのでしょうか?

A. 確かに匿名配送では相手の個人情報を知ることは困難です。しかし、警察が詐欺事件として捜査を開始した場合や、弁護士を通じて裁判所からの開示命令が出た場合には、Yahoo! JAPANから情報が開示される可能性があります。個人で情報を得ることはできませんが、法的な手続きを踏めば、相手を特定できる道は残されています。

Q. 弁護士に相談すると、お金は取り返せますか?

A. 弁護士に依頼すれば、内容証明郵便の送付や民事訴訟といった法的な手段を取ることが可能になります。しかし、必ずお金が取り返せるという保証はありません。相手に支払い能力がなかったり、所在が不明になったりするリスクもあります。また、弁護士費用もかかるため、被害額によっては費用倒れになる可能性も考慮する必要があります。多くの法律事務所では初回無料相談を行っているので、まずはそこで見通しを聞いてみるのが良いでしょう。

Q. 受け取り連絡をしてしまった後でも、できることはありますか?

A. 出品者への入金が完了してしまっているため、交渉は格段に難しくなりますが、諦めるのはまだ早いです。前述の通り、契約不適合責任を追及する権利は残っています。内容証明郵便を送付して返金を強く要求したり、少額訴訟などの法的手続きを検討したりすることになります。証拠を揃えて、弁護士や司法書士、消費生活センターなどに相談してみましょう。

総括:ヤフオクでロレックス本物を賢く取引する

この記事のポイントをまとめました

  1. ヤフオクのロレックスが安いのは中間マージンがない等の理由がある
  2. 安さの裏には巧妙な偽物や詐欺のリスクが潜んでいる
  3. 出品者の評価は数だけでなく悪い評価のコメント内容まで確認する
  4. 画像や説明文からロゴや刻印、レンズの倍率などをチェックする
  5. 少しでも違和感を覚えたら取引は見送る勇気を持つ
  6. 偽物が届いたらまず「受け取り連絡をしない」ことが最も重要
  7. 取引の証拠は全てスクリーンショット等で保全しておく
  8. ノークレームノーリターン特約があっても偽物の場合は返品要求が可能
  9. 警察は民事不介入が原則のため詐欺罪として立証する準備が必要
  10. トラブル解決には時間と労力がかかることを覚悟しておく

 

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